作り手たちのblue stories Vol.2

vol.2 革靴職人 entoan 櫻井義浩さん
 
たくさんの「こと」や「もの」があふれる今、作り手の想いと使い手の心がつながる奇跡。瀬戸内の小さな町で暮らし、ここにある風景、文化、素材と向き合い、ものづくりにこだわりと情熱を注ぐ作り手の方々をご紹介します。

彼らの美意識やものづくりの喜び、遊び心などが詰まった言葉を大切に集めてそれぞれのストーリーを発信していきます。

第2回は、靴職人のentoan 櫻井さん。拠点は埼玉県。靴の受注会を開催したり、kitahama blue storiesでオリジナルカラーのブルーのお財布を作っていただいたりと、長いお付き合いが続いています。今回は2021年1月28日より開催の「大切にしたい春のおさいふ展」に出品いただくおさいふのこと、entoanさんのものづくりへの思い、革小物の楽しみ方をお聞きしました。

 
-靴職人になられたきっかけをお教えください。

物心がついた時から靴は特別な存在でした。

小さい時は親に洋服を買ってもらうと思うのですが、靴を買ってもらうときはすごく嬉しかったのを覚えています。どんな靴を履いていたかなども結構覚えています。

小学校の時、地元のサッカークラブに入っていたのですが、やはりスパイクが好きでよく玄関で磨いていました。夜、玄関で独りっきりで靴を磨いている時間がなんだか忘れられず好きで、靴に関する仕事に就きたいと思ったのが大学在学中の20歳の頃でした。
大学卒業後に靴の専門学校に2年間通いました。


-革の魅力はどんなところにありますか?

動物だったということ。
全く同じものはないということ。
変化していく表情。

靴を作りはじめ、素材としての革に触れる機会が増えたことで、さらに革も好きになっていきました。今でもそうですが、経年変化を楽しめる革が大好きです。
革が好きで、気になったら勢いで買ってしまうことも多いので、棚があふれ返っています。


-ブランド名「entoan」に込めた思いをおきかせください。

「en」には縁、円などの意味があります。
「an」には「あいうえお」の最初の「あ」と最期の「ん」。全ての言葉を使っても伝える事が出来ない思いをカタチにするという意味を込めています。
それを「to」&の意味の日本語「と」で繋げて、「entoan」というブランド名にしました。



-ものづくりをする上で大切にしていることは?

当たり前のことですが、ひとつ1つ丁寧に作ることです。
1から10までの行程を気持ちを込めて行うことによって、自分がそのものを好きになり、使い手の方にもその気持ちが伝わると思っています。
デザインの面では素材をうまく活かすことが出来ているかどうかを大切にしています。


-革小物を作るようになったきっかけは?

革靴を作っていると、どうしても余り革が出てしまいます。
その余り革で何か作ることが出来ないかと、革小物を作るようになりました。
革小物第一号は「おなかポッコリキーケース」です。
靴づくりと小物づくりに、大きな違いはありません。
その時に作りたいものをカタチにしています。





 



-kitahama blue storiesオリジナルカラーとして、瀬戸内の海のように美しい「ブルー」のおさいふを作ってくださいましたが、革の色はどのように選ばれていますか?
瀬戸内とのつながりは高校の同級生が高松に住んでおり、entoanを売り込んでくれたのがはじまりでした。

色を決めるときは、そのデザインにベストだと思う革を探しに見に行ったり、今までの革のストックや今まで見た革を思い出しながら決めていきます。
ブランド立ち上げ当初は、探しに行くことがほとんどでしたが、最近はストックや今まで見た革からマッチングさせることが多くなりました。



 
-今回の展示会で、色んな形のおさいふを届けてくださいますが、それぞれのおすすめポイントをお教えください。


【ロングウォレット】
初めて作ったentoanを代表するお財布です。使いやすさと収納力で一度使うとなかなか他のものを使えない!というお客様も多いです。

このお財布のいいところは一度で全てを「見渡せること」です。ボタンを外すというワンアクションでカード、お札、小銭がどこにどれだけ入っているのかがわかります。

仕分けもたくさんできるようになっているので整理しやすく、小銭スペースは取り出しやすいよう大きく開く設計にしました。

最近は小さなお財布がトレンドのようですが、entoanでは1番の人気商品です。
カード類やレシートなどついつい増えてしまう…という方におすすめです。

【ハーフウォレット】
男性におすすめしたいのがこちらのハーフウォレットです。

ロングウォレットと同様、お財布を開いたときに全てが見渡せること、仕分けがきちんとできることを目指してデザインしました。お財布を持ったときにどの位置にどの向きで小銭入れがついていたら使いやすいのか櫻井と富澤2人で何度も話し合って設計しました。 カードスリットは5ヶ所。小銭入れの下にもまとめて数枚収納できます。

entoanのお財布の中で一番「普通」に見えるけれど、全てのバランスが良くシンプルで使いやすいお財布です。男性へのプレゼントとして選ばれる方も多いです。


【ミニウォレット】
普段は大きなお財布を使っているけれど、旅行や冠婚葬祭など少量の荷物で出かけたいときにぜひ使っていただきたいのがこちらのミニウォレットです。家庭のお金と自分のお小遣い、普段お財布を2つ持ち歩いているという主婦のお客様もいらっしゃり、そんな使い方もいいと思います。

小さくてもカード、小銭、お札を分けて収納でき、使いやすいことを目指してデザインしました。

普段使いには少し小さいけれど、特別な時だけ中身を入れ替えて使う「サブ」のお財布として大活躍してくれることと思います。


【ディリーウォレット】
昨年10月にできた新作のお財布です。

最近はスマホ決済やポイントカードのアプリ化が進み、自分たちもスマホひとつでお買い物が済んでしまうということもしばしば。そうなるとentoanの3種類のお財布の中で今の自分にフィットするサイズのものがありませんでした。

カード3枚と免許証、小銭が少しとお札が1〜4枚ほど。これが普段自分が持ち歩く量で、必要以上に大きなお財布はいらない。ミニウォレットをベースにもう少し用量を増やして普段使いできるものにならないか…こんなことを考えながらデザインしました。

コンパクトさと容量の両立は思っていたよりも難しく、どのような構造にしたらいいのかとても悩みました。

個性的な構造で、こちらも中身が見渡せる、使いやすいお財布になったと思います。
外側についたカードスリットにIC決済できるカードを入れておけばお財布を開くことなくお買い物ができます。たくさん入れたいけど小さいお財布がいい!という方におすすめです。



4つのお財布を作る上でこだわったことは、会計時にもたつかずスムーズに出し入れができる使いやすさと、カード、小銭、お札がきちんと仕分けできること。

なにがどこにどれくらい入っているのかをパッと見て把握できることです。

どのお財布も自分たちが普段から愛用してきた本当に使いやすいと思うものばかりです。ぜひお手にとって自分にあったものを選んでいただけたらうれしいです。


-もうひとつのお楽しみ、entoanのベビーシューズについてお聞かせください。


作りはじめたのは、自分たちの子どもに履かせたいと思ったことがきっかけです。

どんなデザインにするか迷っていたのですが、富澤からの要望で「普段履きで使える脱ぎ履きのしやすい靴」というのがありました。

今までに使ったことがないマジックテープを使用し、履口が大きく開くデザインにしました。実際にほぼ毎日履かせています。

子供は公園で遊んだり、転んだり、引っ掛けたりすることも多いので、傷だらけになってしまうと思います。傷だらけになってサイズが小さくなって履けなくなってしまっても捨てずに大切にしてもらえたら嬉しく思います。


-革小物の楽しみ方をお教えください。

革靴は履くほど足に馴染み、革小物も使う程に手に馴染んできます。

使っていくと傷がついてしまったり、シワができたりとどんどん表情が変化していきます。

その表情と会話をするように日々のお手入れや修理も楽しんでもらいたいです。



-革小物を初めて使われる方に、メッセージをお願いします。

革製品は高価なものが多いですが、ぜひ一度使ってみてください。

使って一緒に時間を過ごしていくと愛着が湧いてくると思います。

そしてたまにブラッシングしたり、クリームを塗ったり、メンテナンスをしてあげてください。きっと革が好きになってしまうと思います。


 


1月28日からはじまる展示会では、3組の職人さんの想いやカラーを思う存分楽しめそうです!ずっと大切にしたい相棒に出会いたいと思います。ありがとうございました。

 

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ずっと大切にしたい『春のおさいふ展』

2021年1月28日(木)〜2月23日(火・祝)

OPEN 11:00-18:00 (火曜定休)

23日祝日は営業致します。

入場無料 

kitahama blue stories

香川県高松市北浜町4-10

TEL 087-823-5220

▷オンラインショップでのお取り扱いは2/1(月)11時〜となります。

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