作り手たちの blue stories

vol.8 陶芸家<br>平岡朋美さん

vol.8 陶芸家
平岡朋美さん

vol.8 陶芸家 平岡朋美さん たくさんの「こと」や「もの」があふれる今、作り手の想いと使い手の心がつながる奇跡。瀬戸内の小さな町で暮らし、ここにある風景、文化、素材と向き合い、ものづくりにこだわりと情熱を注ぐ作り手の方々をご紹介します。 彼らの美意識やものづくりの喜び、遊び心などが詰まった言葉を大切に集めてそれぞれのストーリーを発信していきます。  第8回は、陶芸家 平岡朋美(ひらおかともみ)さん。讃岐の空や海、自然の情景に魅せられて生み出された「讃岐blue」。色とりどりの器づくりについて、工房「朋花窯(ほうかがま)」を訪ねました。ー陶芸家になろうと思ったきっかけは何ですか? 短大を卒業してからシルクフラワーアレンジ(布花)の仕事を5年ぐらいしていて、その時にフラワーベースとなる花器やカゴをイメージごとに選んで作っていました。昔から、絵を描くことや布を使って洋服やぬいぐるみを作ることが好きだったんです。平面な作品より立体的な造形作品をつくり、使えるってことが好きでしたね。フラワーアレンジの仕事をしている中でベースとなる花瓶も自分の好きな形で作れるようになればいいなと思い陶芸教室に通うようになりました。      ーフラワーアレンジのひとつとして陶芸を始められたんですね。 陶芸教室が仕事場から離れた場所にあったので通うのが大変だったのですが、陶芸教室の伊藤先生が熱心な方で、だんだん陶芸をするのが楽しくなっていました。約2年ほとんど毎日のように通っていて今考えると結構迷惑していたんじゃないかな...。 そんな時に伊藤先生から「陶芸はやればやっただけ成長できる」「夢をかなえられるものだ」という言葉に半ば騙される形で(笑)陶芸家を目指すようになりました。今思えば夢もぼんやりとしていたし、陶芸は肉体労働だ~って事も分かってなかったなぁ。そして25歳の時に、フラワーアレンジの仕事を辞めて伊藤先生に弟子入りさせて下さいとお願いをしに行きました。でも、当時は地場産業が少なく陶芸品を販売できる所が無かったんです。生活もあったので、定期的にフラワーアレンジの仕事を委託で貰いながら陶芸家になるぞ!と思い込んで毎日鍛錬していました。30歳の時に工房を建て、31歳の時に窯を持つことが叶いました。家族もいきなり本気で工房?窯?って感じだったと思いますが、自分の力でやると決めた事ならと理解してくれて、精神的に支えてくれました。ー陶芸教室や展覧会に作品を出展されていますが器が出来るまでどれくらい時間が掛かるものなんですか? 土の状態から器となって窯から出てくるまでだと2ヶ月程かかります。土のブレンド→ロクロ成形→乾燥→デザイン→素焼き→釉薬(ゆうやく)がけ→本焼きの流れです素焼きは土が初めて火にさらされるので、ゆっくり水分を充分に抜きながらヒビ割れる事のないように、900℃迄14時間程焼きます。本焼きは手間をかけて何度もテストを繰り返したオリジナルの釉薬をまとった器物を1250℃まで36時間かけて慎重に焼く作業。釉薬が熱によってガラス状の被膜となり、水漏れを防ぎ美しい色の器になっていく。その為に窯全体の完璧に近い温度管理、酸素濃度の調整が必要です。様々な色の器を一緒の窯で焼くので、時には釉薬が溶けすぎて棚板とくっついて割れてしまう事もありますね。       ー窯での作業は聞いているだけでもヒヤヒヤします上手く完成出来るのはどれくらいの割合ですか?120%の仕事をして80%取れたら上出来ですね。焼きあがるまで窯も中はみれませんから、窯場の空気感、匂いなど経験上のカンの様なものが重要です。特に依頼された仕事の時は失敗できないですね。夜中、窯をたいている間で仮眠をとっているとき工房が燃えていたり、作品がマンガみたいにダラダラ~と溶ける夢を見た事あります.....悪夢です。ー平岡さんの作品では、青瓷(せいじ)の器が多く作られていますが作られたきっかけは何ですか? 弟子になってから最初の頃、師匠から釉薬はいろんな表現があるからまずは一つに絞った方がいいよと言われ、初めは紫色を表現したかったのですが紫は焼き物の伝統的釉薬の本筋と少し違うかなぁとなり、青色が好きだったこともあり青色が表現できる青瓷(せいじ)を選びました。   ー青瓷って高級で難しいイメージがあるのですけど... 初めは、技術的なものは何も知らずに決めましたね。青瓷って当時、陶芸家になった人が最後の目標にしていたり、お茶の世界でも青瓷器は牡丹や芍薬しか入れれない位の器だとお茶の先生方からきかされたり  ー別格なのですねお茶の世界や、中国で青瓷が生まれた歴史、日本に伝わった経緯等から、その様なイメージが定着している感じはありますね。選んだ私自身は後から学んだりして、そうだったのかぁ...って感じなのですが。青瓷は、他の釉薬の何倍もの量を器に重ね掛けし、1日で終わる事が1週間もかかることもあり、半分以上ダメになることもあって何度も心が折れました。だけど、青瓷を学んだからこそ釉薬の無限の可能性を知り、焼き物の幅広い世界に踏み込むきっかけにもなりました。今では、あの時青瓷を選んでよかったなと思っています。ー平岡さんといえば「讃岐の色」とイメージするのですが「讃岐blue」は実際に香川の材料が入っているのですか?地元香川の景色を表現するなら香川の土を使わないと意味が無い気がして日本の焼き物の歴史はその土地で採れる土や石、それに適した加飾等が伝統として受け継がれています。焼き物材料店で釉薬を買って色を出すことも出来るけど、産地では無い香川でも自身のオリジナルにこだわりたい。これは師匠から受け継いでいる事でもあります。       ーご自身で土を採ってきていると聞いたのですがはい、焼き物に適した土は香川に少ないので、土では無くて釉薬材料となる凝灰岩(ぎょうかいがん)を採りに。師匠やそこで学んでる人、数人でハンマーやスコップを持って山へ。これが、めちゃくちゃ重労働なんです。それを持ち帰って機械で細かく砕いた粉末を長石や灰等と混ぜ合わせていきます。 ー大変そう...青瓷釉の青はそこから生まれているのですね。凝灰岩の中には鉄分が含まれていて、青瓷の青を引き出す為の3%程の必要量とぴったりなんです。正に香川の山に眠ってる鉄が窯の中で土と合わさって出来る色なんですよ。土によって発色や貫入(かんにゅう)のひび割れ模様が変わるため、窯たき毎に、作りたい色や表現を目指して土や釉薬の調合をしています。自然のものは安定しにくいので研究や試作を繰り返し、生まれるのが「讃岐blue」の器なのです! ー作品の形や色のインスピレーションはどこから生まれているのですか?自然界から来ていますね。日々の空、花の色や昆虫、色深海生物の不思議な形や色調も好きです。陶器に使っている釉薬にも自然の中から生まれた鉱物が溶け合わさって色となっていますからね。窯の中で器の色が変わっていく窯変(ようへん)という現象があるのですが、思ってもみない色が現れるんです。空の色が毎日変化するのと同じ景色に感じますね。細密な計算やデータの元、生まれた色とそんな自然の偶然から生まれた色、どちらも表現したいと思っています。 ー海外にも行かれたのですね。 タイとフランスに文化交流の一環で参加したことがあります。タイの時は、初めての海外展示で体調面も万全ではなく前準備も足りなかったですね。また、陶芸に対する日本とタイの捉え方かなぁ..そんな違いもあり自分が思う表現が上手く出来なかった気がしています。ー苦い経験になったんですね。タイでの経験から、次のフランスでは準備万端で絶対に後悔しないよう、結構こだわって挑みました。 フランスのトゥールに行った際は、香川の伝統工芸のものづくりを伝える匠雲(たくみくも)さんのチームの一人として盆栽や和菓子、ツアーで回ってきた観光客のお客様にお茶をたてるワークショップなど日本の文化体験を取り入れました。頑張った甲斐もあって、器が欲しい!気に入ったと声をもらい、向こうのギャラリーの方とも良いご縁を頂き今に繋がる経験が出来ました。フランスに行くことで、自分の作品が認められたように感じましたね。ずっと見守って応援して頂いた方からもフランスに行って良かったね、ちょっと変わったよねと言って貰えてなんだか殻が剥けて新しい自分、もう一人の自分に出会えたような気がしました。 ー今回の展示で布作家のさとうゆきさんとのコラボした作品が出来ましたがコラボのきっかけは何ですか?今回の展示では、お抹茶盌(まっちゃわん)を様々に展示します。両掌におさまるサイズ感の中で、色、形、デザインの展開を広げている。制作にハマっている器。器を手で包み込みお茶を飲むことは日本人特有の文化ですよね。難しいイメージのお茶ですが、もっと気軽にお茶を楽しんで貰いたいですよね。これさえあればお茶が出来る!おままごとのようなお茶セットを作ろうと考えていたところ前々から気になっていたゆきさんの布巾着「ころん」がお茶のセットを包むのにピッタリじゃないかと思いました。ギャラリーの展示会で初めてお会いする機会がありまして「運命」だと思いましたね(笑)ーとっても楽しそうなコラボになりそうですね。毎日使って頂きたい器を優しく包み込んでくれる素材として、ゆきさんの布作品はピッタリ!布袋の紐を解いて器を覗き見てわぁっと驚き、布から取り出して小さな蓋つきの器には金平糖なんか入れてみようか..なんて。良いですよね。布の色やスティッチの色などこだわった部分があるのでゆきさんとのコラボ完成が楽しみなんです。器が私の手を離れて皆様の日々毎日の日常の道具として自分らしいお茶時間を過ごして貰えたら嬉しいですね。   ー同時に開催されるお茶会について教えて下さい。私が作ったお茶盌に茶筅(ちゃせん)を使い自分でお茶をたててもらって混ぜて飲む所作、一連の流れと時間を愉しんでほしい。毎日のお茶やコーヒーを飲む時間と同じように気軽に取り入れて貰いたいと思います。ノアイエさんの和菓子も独自のスタイルを生みだしていて、愛らしい表情と口に入れた際のちょっとしたインパクト..とても楽しみ。茶筅さばきも改めて教えて頂こうかと。暮らしの中の身近なスタイルのひとつとして器を介して体験してほしいですね。お茶の時間って気持ちの切り替えになると思うんです。お茶の所作って難しく感じていますが思いやりの所作だと思っています。だから難しく考えず気軽にお茶会ごっこを楽しんでくれたら嬉しいです。ー平岡さんにとって「瀬戸内」とはどんな存在ですか?私にとっては「ゆりかご」のような場所で大切なことを忘れないでいれる場所です。子どもの頃は島に住む祖父母の元で夏を過ごしました。青い海、塩の香りを嗅ぐと、島の人たちの優しさや純粋さを思い出して、まるでふわふわの布に包まれるような「ゆりかご」のようで。純粋に自由に作品が作れているのは、周りの人たちの支えがあってこそですね。40代ぐらいの頃は生まれ変わったら陶芸はしませんと言っていたんです。でも50歳を迎えて、もっといろんなことをやっておけばよかったと思いましたね。今は、100歳まで生きても足りないんじゃないかと思い初めまして...若返りの薬が欲しいです。自然環境が崩れてきている今、美しい瀬戸内の情景を思い出と共に大事にしたい、作品に表現していきたいなと思っています。美しいものを見て、作品に表現する。それを見た人が自身の記憶に残る思い出、美しい景色を思い返す。次の世代の方たちにも繋がっていって、この空や海を守っていきたいと思えるような意識を継承できるような形で器を生みだし残していく事が出来たら、と思います。        今回は、讃岐の色に魅せられた平岡さんの妥協しないまっすぐな作品への情熱を感じるお話でした。平岡さんの力強く、女性らしいしなやかな形と美しい情景、その一瞬を溶かした色を取り込んだ魅力あふれる器たち。10月から始まる展示会をぜひ楽しみにお待ちくださいね。   >>【展示会】ART&LIFE 平岡朋美2つの陶展~讃岐に染まるうつわたち~<<  

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vol.7 ガラス作家  杉山利恵さん

vol.7 ガラス作家 杉山利恵さん

   vol7. Rie Glass Garden 杉山利恵さん   たくさんの「こと」や「もの」があふれる今、作り手の想いと使い手の心がつながる奇跡。瀬戸内の小さな町で暮らし、ここにある風景、文化、素材と向き合い、ものづくりにこだわりと情熱を注ぐ作り手の方々をご紹介します。彼らの美意識やものづくりの喜び、遊び心などが詰まった言葉を大切に集めてそれぞれのストーリーを発信していきます。第7回は、讃岐の山からうまれた庵治石をガラスに溶かしたら瀬戸内海の色になったAji glass。香川の温暖な気候から生まれたオリーブをガラスに溶かしたら瀬戸内の風の色になった Olive glass。 長い研究と実験を重ね地元、香川から誰もが誇れるガラス作品を生みたい!と思い、地場の産物を溶かし込んだガラスを生み出した、杉山利恵さんの工房を訪ねました。     ―ガラス作家になったきっかけは何ですか?小さい頃から、玩具の一部としてビー玉や空瓶を集めるのが好きでベットの頭からどんどん広り部屋中に空瓶を並べてました。何も考えずに集めていたガラスが、昔は趣味のひつだと勘違いしていましたが 実は自分にとって特別な存在で、無意識に執着していたことが振り返ると解ります。―ガラスが特別になったきっかけはなんですか?たまたま入った地元のギャラリーで見つけた地元のガラス作家さんの作品「香川でもガラスが作れるんだ!」お店を出た瞬間すぐに連絡をして工房を紹介してもらったのがきっかけです。紹介された工房に入った瞬間「これがしたい!!」と直感で強く思ったんです。その時すでに、趣味ではなくプロになるためにスタートしたいと感じていました。 が、現実問題も色々とあり…まずはとにかく早くガラスを触ってみたい! ということで土日に開催されるガラス講座を受けようと、 土日休みの職に変え、講座に通い始めました。最初に触ったガラスの感触は今でも忘れられません。ガラスを巻き取り紙(紙りん)で触っただけで楽しくて、楽しくて…まだカタチになってなくても、熱に柔らかく赤いガラスを見ているだけで、 楽しくて仕方なかったんです。―ガラス教室からガラス作家へ、すぐにガラスの道に入ったのですか? 出会ったのがそろそろ30代になるかなって言う時期で、このまま趣味に留めたら歳を取った時後悔するんじゃないかなって…ちょうどその頃母を亡くしたこともあり、立ち止まって考えることができました。母も物づくりがすごく好きで、父も農業を営んで作物を作っている私にも、物づくりをする両親の血を受け継いでいるんだと感じました。今からでもやってみよう!と資金を3年かけて自分で貯めて、東京の学校に行き、1年で吸収して帰ってこようと思っていました。でもとても1年じゃ足りない…もう少し勉強したいと思い富山の学校に2年通うことになりました。         ―地元香川の庵治石との出会いは?自分の作風を探っている時期に、もともと地元愛は強かったけど東京と富山の学校の時期に外から見た香川の魅力を再発見しました。平和で、穏やか、空気も全然違うんです。香川で育った農作物を食べ、豊かな土壌で育った自分が香川から生まれるものを作りたい。 ガラスにも香川のものを食べさせたら自然と何か伝えてくれるんじゃないかなと考えたんです。地元らしさが出るガラスを作れたら、自分のことも表現できるし、香川を表現できる。一石二鳥かも!とワクワクしました。 そこから、溶かせる素材を探し始めました。   ―庵治石に行き着いたのはどうやったんですか?香川にはいろいろな素材がありますが、まず可能性の高いものからやってみよう! と最初に試したのが香川が誇る庵治石でした。というのも、一般的にガラスの着色につかわれるのもコバルト・鉄・銅などの鉱物だからです。天然の石を溶かせるかどうかなんて、全く判らない状態からのスタートでしたけど。 友人に石屋さんがたまたまいて「庵治石」のいろんな欠片や石粉を送ってもらいました。初めは全然溶けず、グレーの汚い色になり失敗しましたが、 2年に一週間だけの材料学の先生の特別授業があって、放課後先生に根掘り葉掘り聞きまくりました(笑) そして一度だけ小さな実験を一緒にしてくださり、小さなおはじきみたいなガラス玉から水色が出て…それはもう鳥肌がたちましたね。 実験を重ねてだんだん水色が蒼くなってきて… 庵治石からこの蒼色が出ることに涙が出るほど感動しました。       ―最初から庵治石にチャレンジしたんですね!?他にもリストアップだけはしたんですよ、でも消去法というか、勘がいいのかもしれないです(笑)。鉱物だから熱にも強く、何か出る可能性があるかなって。結構せっかちなんです!ガラス自体そうですが、結果がすぐに見えるじゃないですか(笑)。漆とかは完成までめちゃ長い…とても自分には出来ないです。   ―庵治石から蒼が出て、それからどうしたんですか?まず庵治石の組合や石の地主さんに、材料や「庵治石」という名前自体を使ってもいいですかと、 お伺いを立てに挨拶回りしました。すると思わぬ反応が返ってきたんです。庵治石から出る廃材を使って、こんな色のガラス製品になって…とても良いと思うよ!どんどん使って香川と庵治石をPRして下さい! と応援してくださったことがとても嬉しかったです。何より産地の方が喜んでもらえるのが。 そこから地元の反応も見たくて、県産品コンクールに応募しました。そしたらまさかの賞をもらえまして…(笑)初めて県内外の方の目に触れてもらえて「瀬戸内の色だね。」「庵治石からでた色なんだね!凄い!」って。生の感動の声を聞けたことが一番嬉しかったし、励みになりましたね。   ―じゃあ、結構順風満帆ですね! それが、ガラス工房を個人で構えるのってとっても大変なんです。普通はまずどこか、ガラス工房に勤めて数年経験を積んでから独立したり工房をレンタルして制作する作家さんも多いのですが、私の場合は在学中に賞を戴いてしまったためにメディアにも取り上げられて、仕事も来る、取材も来る、でも工房は無い…そんな後押しもあり、すぐに工房を立ち上げるきっかけになりましたが、最初の1年はめちゃくちゃ辛かったです。学校を出たからってすぐいい作品なんか出来ないんですよ。10個中1個しか上手くいかない。でも、いきなり高松三越の展示に出さなくちゃいけない…在庫も無いから、ひたすら作っては作品になる物を選び、毎日補充しに行ってましたね(笑)。     ―そんな苦労があったんですね!庵治石の作品を作れるようになって、去年発表したオリーブガラスとの出会いもやっぱり地元愛からですか?オリーブとの出会いは5年くらい前に、香川のオリーブ園SOUJUさんが持ち込んでくれました。オリーブを燃やした灰を持って工房に来てくれたのが、きっかけです。熱に弱い植物は無理だと思っていたので無理だと思いますよ。と言いつつ、一度やってみました。やっぱり色が出なくて…結果を伝えたら「量が多かったら、出ますかね?」と再度持ってきてくださったんです。そしたらたまたま2回目で緑色が出ちゃったんですよ。あっけにとられましたね。「緑の物から緑が出た!凄いな!」みたいな。でも次に実験するとまた色が出なくなったんです。同じ配合にしても出ない(苦笑)。庵治ガラスとは勝手が違いましたね。必死に緑を探しましたよ。夜中に心配で何度も工房に行っては色を確認したり、失敗した壺のガラスを全て掻き出したり… とっても苦しみました。―庵治石とは違った苦悩ですね!色が出ても全然安定しないんです。フレッシュなグリーンが出たかと思えば、濃い茶色気味のグリーンだったり…同じ色を出そうと何度も何度も試して、ふっと思ったんです。オリーブ本来の色って何だろうって。葉っぱの裏と表、季節でも緑の色合いが違うじゃないですか、実の色も変わっていきますし…オリーブガラスにムラがあるのもオリーブ本来の姿なんじゃない?って。同じ色を並べてみた時に、なんだか物足りなささえ逆に感じてしまって、 オリーブは色が違うべきなんじゃい?って。そう思ってたくさんの緑を並べるとオリーブの景色が広がりましたね。―その頃でしたっけ?去年の県産品コンクールに応募してて、何だか切羽詰まってましたよね?そう、「もうやるしかないじゃん!」みたいな。県産品コンクールに応募して自分を追い込みました。もう腹を括りましたね(笑)。何だかいつも、そんな人生ですね!周りの人や物事に、ありがとう!って。急かしてくれてありがとう!って。そもそもは自分で追い込んでるんですけどね。今は無理して良かったなって思います(笑)―子育てみたいなものですね(笑)。まだ息子の方が育て易いですよ(笑)子育てよりオリーブガラスの方が大変!全然言うこと聞いてくれない!でも答えはあるんですよ、その色その色が出る場所があるはずなんです。科学ですからね(笑)。でも私がまだ行き着いて無いだけなんです。一生かけて色をコントロールできるようになってみたいです!まだまだ振り回されてばかりですけど…―手間かかる子ですしね(笑)。そう、めちゃめちゃ時間と労力かかるんですよ。枝葉を車やトラックにいっぱいいただいて帰って、乾燥させて、切り刻んで、燃やして灰にして、ふるいにかけて…細かい異物を取り除いてあげる。ここまでしないと綺麗なガラスにならないんです。自然のものを扱うって本当に大変ですよね。庵治ガラスはどっしりとした落ち着いたお兄ちゃんでオリーブガラスは手のかかる妹です(笑)。     ―そんな大変なオリーブガラス、特別に何か作りたいものはありますか?実はすでに試作してるものがあるんです…オリーブだからこその物を作りたい。今回のオリーブガラス展に出す予定なので、ぜひ楽しみにしていて下さい!―それはとっても楽しみですね!今はまだ内緒なんですね…では、杉山さんにとってガラスの魅力って何ですか?「現実離れしてる存在」かな。透かして見ると向こうの景色が歪んだりして、世界が違って見える!―今後ガラスに限らずやってみたいことはありますか?海辺のカフェをしてみたいです!以前海辺で展示をしたのですが、 海を背景にガラスを置いてると、ここにあるべきなんだな、って。この蒼と緑のガラスは特別、水を入れるとめちゃめちゃ綺麗なんです。一番綺麗に見える場所で使っているところを見たいですね。―今回の展示への意気込み、見どころを教えて下さい。私のガラス人生第二章でもあるオリーブガラスが持つ色んなグリーンの色!色んな色合いが並ぶ展示会ならではの風景を見て欲しい!そして新作もあります! ―苦労もあったと思いますが、何だかとっても楽しそうですね! 最後に杉山さんにとって「瀬戸内」とは?母のような温かい受け皿!空気の母性。お母さんのお腹の中のような、もう覚えてないですけど(笑)何か守られてる温かさを感じます。           今回は、ガラスと向き合い自然が織りなす作品の制作秘話でした。杉山さんの情熱と長い研究が生み出したAji GlassとOlive Glassは庵治石とオリーブ、そして杉山さんの心が溶け合わさって生まれた色なのかもしれませんね。オンラインショップにてAji Glass、Olive Glassのお取り扱いがございますのでぜひご覧になってくださいね。   Aji Glassはこちらから>> Olive Glassはこちらから>>

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vol.6 絵本作家<br>柴田ケイコさん

vol.6 絵本作家
柴田ケイコさん

第6回は、kitahama blue storiesでも絵本が子どもから大人まで大人気、高知県在住の絵本作家 柴田ケイコさん。最近では人気のTV番組「セブンルール」でも取り上げられるなど、全国で注目が集まっています。絵本作家になられたきっかけや作品づくり、これからのことなどをお伺いしました。
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vol.5 スギウラ工房<br>杉浦綾さん

vol.5 スギウラ工房
杉浦綾さん

砥部焼のスギウラ工房 杉浦綾さん。伝統工芸品の砥部焼に斬新で愛らしい作家の手仕事がプラスされた、暮らしにしっくりと馴染む器を作られる陶芸家です。 杉浦さんとの出会い、個性あふれる作り手が暮らす街、愛媛県大洲の方々とのご縁でつながり、オリジナルで可愛いカモメの箸置きを作っていただいたのがはじまりです。
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vol.4 とりもと硝子店<br>鳥本雄介さん・由弥さん

vol.4 とりもと硝子店
鳥本雄介さん・由弥さん

第4回は、硝子作家とりもと硝子店さん。鳥本雄介さんとの出会いは20年ほど前のこと。cafe umieができて数年たったある日、「僕の作品を使ってください。」とやってきた青年。持ってきたスニーカーの箱の中には、硝子の箸置きやグラスたち。そこから展示会を開催したり、ご家族で遊びにきていただいたりと長いお付き合いが続いています。
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vol.3 布作家<br>さとうゆきさん

vol.3 布作家
さとうゆきさん

たくさんの「こと」や「もの」があふれる今、作り手の想いと使い手の心がつながる奇跡。瀬戸内の小さな町で暮らし、ここにある風景、文化、素材と向き合い、ものづくりにこだわりと情熱を注ぐ作り手の方々をご紹介します。
彼らの美意識やものづくりの喜び、遊び心などが詰まった言葉を大切に集めてそれぞれのストーリーを発信していきます。

3回は、布作家 さとうゆきさん。優しい風合いのバッグやエプロンはどのようにして生まれるのでしょうか。今回は、ゆきさんの自宅兼工房を訪ねました。

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