作り手たちの blue stories

vol.7 ガラス作家  杉山利恵さん

vol.7 ガラス作家 杉山利恵さん

   vol7. Rie Glass Garden 杉山利恵さん   たくさんの「こと」や「もの」があふれる今、作り手の想いと使い手の心がつながる奇跡。瀬戸内の小さな町で暮らし、ここにある風景、文化、素材と向き合い、ものづくりにこだわりと情熱を注ぐ作り手の方々をご紹介します。彼らの美意識やものづくりの喜び、遊び心などが詰まった言葉を大切に集めてそれぞれのストーリーを発信していきます。第7回は、讃岐の山からうまれた庵治石をガラスに溶かしたら瀬戸内海の色になったAji glass。香川の温暖な気候から生まれたオリーブをガラスに溶かしたら瀬戸内の風の色になった Olive glass。 長い研究と実験を重ね地元、香川から誰もが誇れるガラス作品を生みたい!と思い、地場の産物を溶かし込んだガラスを生み出した、杉山利恵さんの工房を訪ねました。     ―ガラス作家になったきっかけは何ですか?小さい頃から、玩具の一部としてビー玉や空瓶を集めるのが好きでベットの頭からどんどん広り部屋中に空瓶を並べてました。何も考えずに集めていたガラスが、昔は趣味のひつだと勘違いしていましたが 実は自分にとって特別な存在で、無意識に執着していたことが振り返ると解ります。―ガラスが特別になったきっかけはなんですか?たまたま入った地元のギャラリーで見つけた地元のガラス作家さんの作品「香川でもガラスが作れるんだ!」お店を出た瞬間すぐに連絡をして工房を紹介してもらったのがきっかけです。紹介された工房に入った瞬間「これがしたい!!」と直感で強く思ったんです。その時すでに、趣味ではなくプロになるためにスタートしたいと感じていました。 が、現実問題も色々とあり…まずはとにかく早くガラスを触ってみたい! ということで土日に開催されるガラス講座を受けようと、 土日休みの職に変え、講座に通い始めました。最初に触ったガラスの感触は今でも忘れられません。ガラスを巻き取り紙(紙りん)で触っただけで楽しくて、楽しくて…まだカタチになってなくても、熱に柔らかく赤いガラスを見ているだけで、 楽しくて仕方なかったんです。―ガラス教室からガラス作家へ、すぐにガラスの道に入ったのですか? 出会ったのがそろそろ30代になるかなって言う時期で、このまま趣味に留めたら歳を取った時後悔するんじゃないかなって…ちょうどその頃母を亡くしたこともあり、立ち止まって考えることができました。母も物づくりがすごく好きで、父も農業を営んで作物を作っている私にも、物づくりをする両親の血を受け継いでいるんだと感じました。今からでもやってみよう!と資金を3年かけて自分で貯めて、東京の学校に行き、1年で吸収して帰ってこようと思っていました。でもとても1年じゃ足りない…もう少し勉強したいと思い富山の学校に2年通うことになりました。         ―地元香川の庵治石との出会いは?自分の作風を探っている時期に、もともと地元愛は強かったけど東京と富山の学校の時期に外から見た香川の魅力を再発見しました。平和で、穏やか、空気も全然違うんです。香川で育った農作物を食べ、豊かな土壌で育った自分が香川から生まれるものを作りたい。 ガラスにも香川のものを食べさせたら自然と何か伝えてくれるんじゃないかなと考えたんです。地元らしさが出るガラスを作れたら、自分のことも表現できるし、香川を表現できる。一石二鳥かも!とワクワクしました。 そこから、溶かせる素材を探し始めました。   ―庵治石に行き着いたのはどうやったんですか?香川にはいろいろな素材がありますが、まず可能性の高いものからやってみよう! と最初に試したのが香川が誇る庵治石でした。というのも、一般的にガラスの着色につかわれるのもコバルト・鉄・銅などの鉱物だからです。天然の石を溶かせるかどうかなんて、全く判らない状態からのスタートでしたけど。 友人に石屋さんがたまたまいて「庵治石」のいろんな欠片や石粉を送ってもらいました。初めは全然溶けず、グレーの汚い色になり失敗しましたが、 2年に一週間だけの材料学の先生の特別授業があって、放課後先生に根掘り葉掘り聞きまくりました(笑) そして一度だけ小さな実験を一緒にしてくださり、小さなおはじきみたいなガラス玉から水色が出て…それはもう鳥肌がたちましたね。 実験を重ねてだんだん水色が蒼くなってきて… 庵治石からこの蒼色が出ることに涙が出るほど感動しました。       ―最初から庵治石にチャレンジしたんですね!?他にもリストアップだけはしたんですよ、でも消去法というか、勘がいいのかもしれないです(笑)。鉱物だから熱にも強く、何か出る可能性があるかなって。結構せっかちなんです!ガラス自体そうですが、結果がすぐに見えるじゃないですか(笑)。漆とかは完成までめちゃ長い…とても自分には出来ないです。   ―庵治石から蒼が出て、それからどうしたんですか?まず庵治石の組合や石の地主さんに、材料や「庵治石」という名前自体を使ってもいいですかと、 お伺いを立てに挨拶回りしました。すると思わぬ反応が返ってきたんです。庵治石から出る廃材を使って、こんな色のガラス製品になって…とても良いと思うよ!どんどん使って香川と庵治石をPRして下さい! と応援してくださったことがとても嬉しかったです。何より産地の方が喜んでもらえるのが。 そこから地元の反応も見たくて、県産品コンクールに応募しました。そしたらまさかの賞をもらえまして…(笑)初めて県内外の方の目に触れてもらえて「瀬戸内の色だね。」「庵治石からでた色なんだね!凄い!」って。生の感動の声を聞けたことが一番嬉しかったし、励みになりましたね。   ―じゃあ、結構順風満帆ですね! それが、ガラス工房を個人で構えるのってとっても大変なんです。普通はまずどこか、ガラス工房に勤めて数年経験を積んでから独立したり工房をレンタルして制作する作家さんも多いのですが、私の場合は在学中に賞を戴いてしまったためにメディアにも取り上げられて、仕事も来る、取材も来る、でも工房は無い…そんな後押しもあり、すぐに工房を立ち上げるきっかけになりましたが、最初の1年はめちゃくちゃ辛かったです。学校を出たからってすぐいい作品なんか出来ないんですよ。10個中1個しか上手くいかない。でも、いきなり高松三越の展示に出さなくちゃいけない…在庫も無いから、ひたすら作っては作品になる物を選び、毎日補充しに行ってましたね(笑)。     ―そんな苦労があったんですね!庵治石の作品を作れるようになって、去年発表したオリーブガラスとの出会いもやっぱり地元愛からですか?オリーブとの出会いは5年くらい前に、香川のオリーブ園SOUJUさんが持ち込んでくれました。オリーブを燃やした灰を持って工房に来てくれたのが、きっかけです。熱に弱い植物は無理だと思っていたので無理だと思いますよ。と言いつつ、一度やってみました。やっぱり色が出なくて…結果を伝えたら「量が多かったら、出ますかね?」と再度持ってきてくださったんです。そしたらたまたま2回目で緑色が出ちゃったんですよ。あっけにとられましたね。「緑の物から緑が出た!凄いな!」みたいな。でも次に実験するとまた色が出なくなったんです。同じ配合にしても出ない(苦笑)。庵治ガラスとは勝手が違いましたね。必死に緑を探しましたよ。夜中に心配で何度も工房に行っては色を確認したり、失敗した壺のガラスを全て掻き出したり… とっても苦しみました。―庵治石とは違った苦悩ですね!色が出ても全然安定しないんです。フレッシュなグリーンが出たかと思えば、濃い茶色気味のグリーンだったり…同じ色を出そうと何度も何度も試して、ふっと思ったんです。オリーブ本来の色って何だろうって。葉っぱの裏と表、季節でも緑の色合いが違うじゃないですか、実の色も変わっていきますし…オリーブガラスにムラがあるのもオリーブ本来の姿なんじゃない?って。同じ色を並べてみた時に、なんだか物足りなささえ逆に感じてしまって、 オリーブは色が違うべきなんじゃい?って。そう思ってたくさんの緑を並べるとオリーブの景色が広がりましたね。―その頃でしたっけ?去年の県産品コンクールに応募してて、何だか切羽詰まってましたよね?そう、「もうやるしかないじゃん!」みたいな。県産品コンクールに応募して自分を追い込みました。もう腹を括りましたね(笑)。何だかいつも、そんな人生ですね!周りの人や物事に、ありがとう!って。急かしてくれてありがとう!って。そもそもは自分で追い込んでるんですけどね。今は無理して良かったなって思います(笑)―子育てみたいなものですね(笑)。まだ息子の方が育て易いですよ(笑)子育てよりオリーブガラスの方が大変!全然言うこと聞いてくれない!でも答えはあるんですよ、その色その色が出る場所があるはずなんです。科学ですからね(笑)。でも私がまだ行き着いて無いだけなんです。一生かけて色をコントロールできるようになってみたいです!まだまだ振り回されてばかりですけど…―手間かかる子ですしね(笑)。そう、めちゃめちゃ時間と労力かかるんですよ。枝葉を車やトラックにいっぱいいただいて帰って、乾燥させて、切り刻んで、燃やして灰にして、ふるいにかけて…細かい異物を取り除いてあげる。ここまでしないと綺麗なガラスにならないんです。自然のものを扱うって本当に大変ですよね。庵治ガラスはどっしりとした落ち着いたお兄ちゃんでオリーブガラスは手のかかる妹です(笑)。     ―そんな大変なオリーブガラス、特別に何か作りたいものはありますか?実はすでに試作してるものがあるんです…オリーブだからこその物を作りたい。今回のオリーブガラス展に出す予定なので、ぜひ楽しみにしていて下さい!―それはとっても楽しみですね!今はまだ内緒なんですね…では、杉山さんにとってガラスの魅力って何ですか?「現実離れしてる存在」かな。透かして見ると向こうの景色が歪んだりして、世界が違って見える!―今後ガラスに限らずやってみたいことはありますか?海辺のカフェをしてみたいです!以前海辺で展示をしたのですが、 海を背景にガラスを置いてると、ここにあるべきなんだな、って。この蒼と緑のガラスは特別、水を入れるとめちゃめちゃ綺麗なんです。一番綺麗に見える場所で使っているところを見たいですね。―今回の展示への意気込み、見どころを教えて下さい。私のガラス人生第二章でもあるオリーブガラスが持つ色んなグリーンの色!色んな色合いが並ぶ展示会ならではの風景を見て欲しい!そして新作もあります! ―苦労もあったと思いますが、何だかとっても楽しそうですね! 最後に杉山さんにとって「瀬戸内」とは?母のような温かい受け皿!空気の母性。お母さんのお腹の中のような、もう覚えてないですけど(笑)何か守られてる温かさを感じます。           今回は、ガラスと向き合い自然が織りなす作品の制作秘話でした。杉山さんの情熱と長い研究が生み出したAji GlassとOlive Glassは庵治石とオリーブ、そして杉山さんの心が溶け合わさって生まれた色なのかもしれませんね。オンラインショップにてAji Glass、Olive Glassのお取り扱いがございますのでぜひご覧になってくださいね。   Aji Glassはこちらから>> Olive Glassはこちらから>>

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vol.6 絵本作家<br>柴田ケイコさん

vol.6 絵本作家
柴田ケイコさん

第6回は、kitahama blue storiesでも絵本が子どもから大人まで大人気、高知県在住の絵本作家 柴田ケイコさん。最近では人気のTV番組「セブンルール」でも取り上げられるなど、全国で注目が集まっています。絵本作家になられたきっかけや作品づくり、これからのことなどをお伺いしました。
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vol.5 スギウラ工房<br>杉浦綾さん

vol.5 スギウラ工房
杉浦綾さん

砥部焼のスギウラ工房 杉浦綾さん。伝統工芸品の砥部焼に斬新で愛らしい作家の手仕事がプラスされた、暮らしにしっくりと馴染む器を作られる陶芸家です。 杉浦さんとの出会い、個性あふれる作り手が暮らす街、愛媛県大洲の方々とのご縁でつながり、オリジナルで可愛いカモメの箸置きを作っていただいたのがはじまりです。
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vol.4 とりもと硝子店<br>鳥本雄介さん・由弥さん

vol.4 とりもと硝子店
鳥本雄介さん・由弥さん

第4回は、硝子作家とりもと硝子店さん。鳥本雄介さんとの出会いは20年ほど前のこと。cafe umieができて数年たったある日、「僕の作品を使ってください。」とやってきた青年。持ってきたスニーカーの箱の中には、硝子の箸置きやグラスたち。そこから展示会を開催したり、ご家族で遊びにきていただいたりと長いお付き合いが続いています。
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vol.3 布作家<br>さとうゆきさん

vol.3 布作家
さとうゆきさん

たくさんの「こと」や「もの」があふれる今、作り手の想いと使い手の心がつながる奇跡。瀬戸内の小さな町で暮らし、ここにある風景、文化、素材と向き合い、ものづくりにこだわりと情熱を注ぐ作り手の方々をご紹介します。
彼らの美意識やものづくりの喜び、遊び心などが詰まった言葉を大切に集めてそれぞれのストーリーを発信していきます。

3回は、布作家 さとうゆきさん。優しい風合いのバッグやエプロンはどのようにして生まれるのでしょうか。今回は、ゆきさんの自宅兼工房を訪ねました。

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vol.2 革靴職人<br>entoan 櫻井義浩さん

vol.2 革靴職人
entoan 櫻井義浩さん

第2回は、靴職人のentoan 櫻井さん。拠点は埼玉県。靴の受注会を開催したり、kitahama blue storiesでオリジナルカラーのブルーのお財布を作っていただいたりと、長いお付き合いが続いています。今回は2021年1月28日より開催の「大切にしたい春のおさいふ展」に出品いただくおさいふのこと、entoanさんのものづくりへの思い、革小物の楽しみ方をお聞きしました。
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